男性が「育児休暇」を取らない理由とは?育休取得率を上げるためのポイント

男性が「育児休暇」を取らない理由とは?育休取得率を上げるためのポイント

ワーク・ライフ・バランス推進の取り組みが進むなか、企業にとって課題のひとつとなるのが「男性従業員の育児休業・休暇の取得」です。育休は男性にも当然に与えられた権利でありがなら、育児休業の取得率は約5%と低迷が続いています。この現状に、企業はどのように対処すべきなのでしょうか。男性従業員がなぜ育休を取らないのかを理解すると、その対応策が見えてきます。

目次[非表示]

  1. 1.男女が取得できる「育児休業制度」とは?
    1. 1.1.育児休業制度とは
    2. 1.2.「育児休業」と「育児休暇」の違い
    3. 1.3.男性の育児休業取得率は約5%
  2. 2.男性の育児休業取得率が低いのはなぜ?
  3. 3.男性が育児休業を取得した場合の収入は?
  4. 4.男性の育休取得のために企業が行うべきこと
    1. 4.1.職場環境の改善
    2. 4.2.育休の周知
    3. 4.3.制度の充実
  5. 5.育休の活用促進には人事の支援が不可欠

男女が取得できる「育児休業制度」とは?

産前産後休業は女性のみに与えられる制度ですが、育児休業制度は男女問わず取得できる制度です。育児休業の基本と、男性の育児休業の特徴を紹介します。

育児休業制度とは

育児休業制度とは、育児のために休業したい従業員が生活の保障を受けながら休業できる制度です。育児・介護休業法によって定められているため、育児休暇に関する制度がない企業の従業員も利用することができます。

休業中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。休業期間は原則として子どもの誕生から1歳までの間ですが、子どもを保育園に預けられないといった理由がある場合は1歳6ヶ月まで延長でき、その後も特別な事情がある場合は最長2歳まで再延長が可能です。

育児休業は原則、子ども一人に対して1回のみの取得となりますが、男性に限っては2回取得できる「パパ休暇」という制度があります。また、「パパ・ママ育休プラス」という制度を利用すると、育休期間が1歳2ヶ月まで延長できるようになるなど、両親が協力して育児休業を取得できる仕組みも整備されています。

「育児休業」と「育児休暇」の違い

育休は大きく分けて「育児休業」と「育児休暇」の二つに分けることができます。まず「育児休業」とは、前述のとおり法律によって定められた休業制度のことで、一定の条件を満たせば国から育児休業給付金を受給することができます。

一方、「育児休暇」は、企業ごとに定める休暇制度です。企業が独自にガイドラインを定めて運用し、育児休業を取得できない人が利用したり、育児休業取得者が併用して利用したりします。優秀な人材を確保するために、法律で定められている基準を上回る育児休暇システムを整備する企業が増え、育児を取り巻く状況は変わりつつあるようです。

男性の育児休業取得率は約5%

厚生労働省が2018年に発表した「平成29年度雇用均等基本調査」によると、2017年度の男性の育児休業取得率は5.14%で、過去最高を記録しました。しかし、女性の取得率83.2%と比べると、その取得率の低さは明らかです。厚生労働省は2020年までに男性の育児休業取得率を13%まで上げることを目標としています。


男性の育児休業取得率が低いのはなぜ?

男性の育児休業取得率が低いのには、どのような理由があるのでしょうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「平成29年度労働者調査」を見てみましょう。育児休業を取得しない主な理由は以下のとおりです。

■業務が繁忙で職場の人手が不足していた……38.5%
■職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった……33.7%
■自分にしかできない仕事や担当している仕事があった……22.1%
■収入を減らしたくなかった……16.0%

人員不足や仕事の性質、雰囲気を理由に休業申請ができないという人が多く、職場環境が大きく関係していることが分かります。続いて、育児休業・休暇取得者の職場で行われていた企業の取り組み(主に男性に対するもの)も見てみます。

■育児休業給付金以外による所得の保障……45.5%
■人事からの育児休業に関する周知……35.9%
■上司や管理職による休業取得の呼びかけ…27.5%

育児休業取得者の職場では、育児休業を取得しない理由に挙がっていた「収入を減らしたくない」という課題に対して対策を講じているようです。そして、人事や上司の働きかけによって職場環境の整備が進み、取得しなかった人の職場より休業申請しやすい状況であることもうかがえます。


男性が育児休業を取得した場合の収入は?

前項で紹介した調査結果において、収入は気になる事項のひとつであることが分かりました。そこで、育児休業中に得られる収入についても触れておきましょう。
育児休業を取得した場合は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。金額はそれまで支給されていた給与の67%となりますが、育児休業給付金には所得税、社会保険料、雇用保険料がかからないため、休業前の手取り給与の約8割が支給されるイメージです。
支給額は休業を開始して半年を過ぎると前賃金月額の50%に減りますが、パパ・ママ育休プラス制度を活用し、男性・女性それぞれが半年間ずつ育休を取得した場合は、1年間にわたって前賃金月額の67%が支給されます。育児休業中の収入に不安を感じる男性にとっては、安心できる制度と言えるでしょう。


男性の育休取得のために企業が行うべきこと

男性の育児休業取得率を上げるためには、「職場環境の改善」「育休の周知」「制度の充実」の3つの観点から推進していくことが求められます。

職場環境の改善

前項の調査によると「休んだら周りに迷惑を掛けてしまう」「自分にしかできない仕事がある」という理由で休業・休暇を取得できない男性従業員が多いことが分かりました。そのため、まずは人員不足で従業員の負担が大きくなっていないか、業務が属人化していないかを確認しましょう。

人員不足という課題に対しては、業務フローを見直し、ITツールを導入する、テレワークにトライするなど業務の効率化に着手します。また、働き方が多様化する現代は、フルタイム雇用でなくても優秀な人材を雇用できる場合があります。新しい人材の採用も視野に入れ、積極的に職場環境の是正に取り組みましょう。

また、業務が属人化している場合は、定期的にジョブローテーションを実施し、情報や技術を共有できる仕組みを作ります。従業員が「自分も育児休業を取得できそうだ」と思える環境にしていくことがポイントです。

育休の周知

育休を取りやすい雰囲気づくりも重要です。まずは上司や管理職、次いで従業員全体への周知に取り組みます。女性の育休に関しては理解があっても男性の育休には抵抗があるケースは多いものです。管理職に対して社内研修を行うなど、徹底した意識改革が必要です。

ちなみに、過去3年以内に育児休業を取得した男性従業員がいない企業については、「出生時両立支援助成金(イクメン助成金)」が支給されます。これは、男性が育児休業を取得しやすい職場環境づくりや必要な手続きを行い、配偶者の出産後8週間以内に育児休業を連続5日以上(大企業は14日以上)取得させた企業に対して支給されるというものです。男性従業員1人あたり57万円(大企業は28.5万円)、二人目以降は14.25万円(大企業も同額)となっています。

制度の充実

育児休業制度でカバーしきれない部分は、企業が独自で制定する育児休暇制度で対応しましょう。育児休暇制度には、例えば、子どもの行事に参加するときや看護したいときに取得できる「育児参加休暇」、配偶者の出産時に取得できる「配偶者出産休暇」などがあります。

こうした新たな制度の策定が難しい場合は、福利厚生のアウトソーシングを活用する方法もあります。いずれにしても、企業は従業員に対して育児をサポートする姿勢を見せることが大切です。

このような企業の取り組み事例は、厚生労働省の両立支援総合サイト「両立支援のひろば」や、イクメンプロジェクトのホームページでチェックできます。


育休の活用促進には人事の支援が不可欠

働き方の多様化に伴い、男性の育休取得希望は今後ますます高まりを見せることが予測されます。企業の将来を担う子育て世代が安心して働ける環境づくりは、あらゆる企業にとって向き合わなければならない要件のひとつと言えるでしょう。特に男性の育休に関する従業員の意識改革では、人事の働きかけが大きく左右します。従業員の立場に立って、将来を見据えた環境整備に取り組んでいきましょう。


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