労使協定とはなにかわかりやすく解説!労働基準監督に届け出が必要な種類とは?

労使協定とはなにかわかりやすく解説!労働基準監督に届け出が必要な種類とは?

※この記事は2020年9月1日に更新しました。

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時間外労働などを労働者に科すときに密接に関わってくる労使協定。労働者と使用者(会社)との合意によって締結される協定ですが、どのような内容なのか、労働契約や就業規則となにが異なるのか把握していないという方も多いでしょう。

労使協定の種類によっては労働基準監督署に届け出が必要なものもありますし、労使協定を結んでからでないと作成できない就業規則の項目もあります。違反すると罰則があるので、必ず確認しておきましょう。また、労使協定をスムーズに締結できないときのおすすめ方法もご紹介しています。併せてチェックしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.労使協定とは
    1. 1.1.従業員代表とは
  2. 2.労使協定と労働協約の違い
    1. 2.1.規律する機能
    2. 2.2.人数要件
    3. 2.3.効力の範囲
    4. 2.4.有効期限
  3. 3.労使協定と就業規則の違い
  4. 4.労使協定と労働契約の違い
  5. 5.労使協定と労働基準法の違い
  6. 6.労使協定の位置づけと優先順位
  7. 7.労使協定は労働者に効果を強制するものではない
  8. 8.福利厚生パッケージ・カフェテリアプランを導入するという事例も増えている
  9. 9.労使協定の種類と提出の有無
  10. 10.労働基準監督署に届け出が必要な労使協定の種類
    1. 10.1.貯蓄金管理協定届
    2. 10.2.1ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定届
    3. 10.3.1年単位の変形労働時間制に関する協定届
    4. 10.4.1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定届
    5. 10.5.時間外労働・休日労働に関する協定届
    6. 10.6.事業場外労働に関する協定届
    7. 10.7.専門業務型裁量労働制に関する協定届
  11. 11.労働基準監督署に届け出が不要な労使協定の種類
    1. 11.1.賃金控除協定
    2. 11.2.フレックスタイム制
    3. 11.3.休憩時間の一斉付与原則の解除
    4. 11.4.割増賃金の割増率引き上げ分に相当する有給代替休暇を付与する場合の労使協定
    5. 11.5.年次有給休暇の分割付与を行う場合
    6. 11.6.年休日の賃金を標準報酬月額で支払う労使協定
    7. 11.7.育児介護休業法に関する協定
  12. 12.代表的な36協定に違反すると罰則が科せられる
    1. 12.1.36協定とは
    2. 12.2.36協定に違反すると?
  13. 13.労使協定をスムーズに締結するには、福利厚生制度の見直しを

労使協定とは

労使協定とは労働者と使用者、つまり社員と会社との間で交わされる協定のことです。労働基準法には「労使協定」という言葉は書かれていないのですが、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労働基準法第36条より引用)」という文言を一般的に「労使協定」としています。

適用範囲が定められていない限りはその会社で働く全社員に適用される労使協定は、国が定めた労働基準法と現場で行われている仕事の実情との差を埋めるために有効です。例えば、労働基準法では認められていない時間外労働や休日出勤などを会社が行って欲しい場合、時間外労働や休日出勤を認める内容の労使協定を労働者側と結んでいれば、例外的に認められるということです。会社の仕事内容や状況などによってどのような規定が必要かは変わるので、労使協定によって定められている規定は会社ごとに異なるのが特徴です。

ただし労働者側が同意すればどんな内容の協定でも良いというわけではなく、労働基準法においての14の項目にのみ認められているので注意が必要です。それぞれ協定締結までの手続きなどが細かく定められていますが、どれも「書面による協定」という部分が共通しています。

「書面による労働者と使用者間の協定」と言うと、労使協定以外にも労働協約や労働契約などがありますが、それぞれに法的効力の違いなどの差異があるのでしっかりと把握しておくことが重要です。以下で労使協定と労働協約、就業規則、労働契約、労働基準法のなにが異なるのかをご説明するので、チェックしておきましょう。

従業員代表とは

労使協定の締結にあたり、従業員代表と締結することが労働基準法で定められています。
従業員代表は労働組合の有無によって定義が異なり、労働組合があるときはその労働組合、労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者を従業員代表といいます。


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労使協定と労働協約の違い

労使協定も労働協約も、労働者の代表が使用者と話し合って決める、という点では違いがありません。しかし4つの大きな違いがあるので、以下を確認しておきましょう。

規律する機能

労使協定は労働基準法の例外を認めるためにできたものなので、協定自体に規律する機能はありません。ただ「労働基準法では認められていないけれど、罰則を受けることがない」という免罰効果が得られるだけです。それに対して労働協約は、国が定めた労働基準法だけではフォローしきれない部分を補うものとして有効で、ここで定められた労働条件に従って仕事を行う、という規律性があります。

人数要件

どちらも締結の際には「労働者側の代表者」との合意が必要ですが、労使協定の場合「労働者の過半数で組織する労働組合、もしくは労働者の過半数の中から投票や挙手などで選ばれた代表者」であるのに対し、労働協約の場合は労働者の過半数に満たない労働組合であっても締結が可能です。

効力の範囲

労使協定の効力は適用範囲が定められていない限り、その会社で働く全労働者に及びますが、労働協約の効力は締結した労働組合の組合員にのみ発揮されます。つまり、労働協約の効力を受ける労働者と受けない労働者が同じ会社内に存在し得るということです。ただし、締結した労働組合に事業場の4分の3以上の労働者が属している場合は、組合員でなくても労働協約の効力を受けることになります。

有効期限

労使協定の有効期限には法律上の制限がないため、その会社によって定める期限は異なります。ただし一般的には、1年間と定めているところが多いようです。それに対し、労働協約の場合は「締結の日から上限3年間」と定められています。


労使協定と就業規則の違い

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就業時間などに言及する労使協定の規定は、就業規則だけでも賄えるのではないか、と思う方もいるでしょう。しかしこの2つには効力やそもそもの作り方が異なるので、違いを把握しておくことは重要です。

そもそも就業規則とは10人以上の労働者がいる会社に作成が義務づけられているもので、労働者への意見聴取の義務があるとは言え、会社側が一方的に作成・変更できるものです。労働者に対しての規範的な効力を持ち、労働者は就業規則で定められている規定に準じなければならない、という民事的な権利義務が発生します。

それに対して労使協定は、労働者と会社の合意の元に締結するものです。労働基準法で認められていないことに対しての免罰効果が得られますが、権利義務は発生しません。そのため、就業規則を作成してから、その規則に基づいて労使協定を締結する、というケースが多々あります。

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労使協定と労働契約の違い

働く上で最も身近に感じるものが、就業規則と労働契約という方も多いでしょう。就業規則との違いについては上で説明しましたが、労働契約も労使協定とは大きな違いがあります。それは、締結の目的です。

労使協定はあくまで「免罰」という部分に特化しているのに対し、労働契約の目的は「労働提供に対しての賃金支払いの約束」です。あくまで労働契約は労働者個人と会社間で締結される契約であり、労働者1人1人内容が異なっていても問題ありません。そして、労働者にだけ影響を及ぼす労使協定とは違い、賃金の支払いなどの項目において会社にも権利義務が発生します。労働契約は、労働者・使用者どちらにも民事的効力を発揮するのが特徴と言って良いでしょう。


労使協定と労働基準法の違い

ここまで読んできた方ならもうおわかりかと思いますが、労使協定と労働基準法も異なるものです。

労働基準法は国によって定められている法律です。労働者の保護を目的にしており、雇用する上での労働条件の最低基準などが定められています。この基準を満たさない労働条件で雇用した場合は法律違反となり、罰金や懲役刑が付くこともあります。労働者と会社が対等な立場で契約できるように定められているため、労働者・使用者どちらにも効力を発揮するのが特徴です。

そんな労働基準法に定められた労働条件に例外を設けられるのが、労使協定です。締結していれば労働基準法で定められている労働条件から逸脱していても認められる、免罰効果が得られます。つまり、労働基準法の例外を認めるのが労使協定なのです。


労使協定の位置づけと優先順位

上記でも説明したように、労使協定には民事的な効力はありません。そこで気になるのが、労使協定はどのような位置づけで優先順位はどの位なのか、ということでしょう。ここでは、労使協定・労働協約・就業規則・労働契約・労働基準法の位置づけと優先順位をご説明します。


労使協定は労働者に効果を強制するものではない

労働協約・就業規則・労働契約・労働基準法の優先順位は以下のとおりです。

労働基準法>労働協約>就業規則>労働契約

労働基準法は国が定めた法律なので効力が強く、全ての規則・契約・協定に効力を及ぼします。つまり、就業規則や労働契約に労働基準法に準じない内容が書かれていたとしても、それは無効となるのです。ただし、就業規則は会社側が一方的に作成したものなのに対して労働契約は労働者と使用者の間で結ばれた契約なので、就業規則に書かれている労働条件以上のことが労働契約に書かれている場合、労働者も合意の上だと判断されてその部分は無効になりません。

上記4つに含まれない労使協定は、優先順位として図れない位置づけにあります。労働者と使用者の間で結ばれた「約束事」という認識なので、民事的な効力を発揮しないのです。「労働基準法で認められていない労働条件であっても、労使協定を結んでおけば法律で罰せられることはない」という免罰効果が得られるだけなので、労使協定を結んでいたとしても、時間外労働などの指示に逆らうことは可能ですし、なんの罰則もありません。

もし時間外労働などの労働条件に民事的な効力を付けたい場合は、労使協定を結んだ上で就業規則や個別の契約書に具体的な労働条件や労働者の処遇を規定する必要があります。


福利厚生パッケージ・カフェテリアプランを導入するという事例も増えている

会社側としては労働基準法に縛られずに労働条件を付け加えられる労使協定を結んでおきたい、と思うことが多いでしょう。しかし、労働組合との協議で労使協定を受け入れてもらえないこともしばしばあります。そこで増えているのが、福利厚生パッケージ・カフェテリアプランの導入です。

福利厚生パッケージ・カフェテリアプランとは、会社が様々な福利厚生制度を設けて、その中から社員個人が自分に合った福利厚生制度を選択する、という制度のことです。ベースとなる福利厚生制度に付加する形で、必要なときに必要なものを選択できるのが特徴です。

その仕組みは、とても簡単。まず会社が労働者に有効期限付きのポイントを毎年付与し、労働者は自分の所有ポイントの範囲内で福利厚生制度を選択します。必要な人しか福利厚生制度を利用しないので会社全体の福利厚生費のコストダウンができるというメリットと共に、必要な制度を受けられる、という労働者側のメリットも得られます。

そんな福利厚生パッケージ・カフェテリアプランは、労使協定を締結する際にも有効な手段です。労使協定を結ぶ際はベースアップなどの労働者側のメリットを労働組合から要求されることが多いのですが、会社が労働組合からの要望を飲めない場合は賃金ではなく福利厚生でそのメリットを賄おう、というわけです。


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労使協定の種類と提出の有無

労使協定には大きく分けて2つの種類があり、労働基準監督署に届け出が必要なものもあります。もし届け出を怠った場合「届出義務違反」となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があるので、必ず確認しておきましょう。


労働基準監督署に届け出が必要な労使協定の種類

労働基準監督署に届け出が必要なのは、以下の7つの労使協定を結んだ場合です。それぞれどのような協定なのか、ご説明します。

貯蓄金管理協定届

使用者が労働者の貯金を管理する委託を受けた場合に届け出なければいけない協定のことです。またこの協定を結んだ場合は、毎年4月30日までに3月31日以前1年間の預金管理状況を報告する義務があります。

1ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定届

1ヶ月で平均したときに、1週間当たりの労働時間が労働基準法で定められた労働時間を超えないような労働条件を定めた協定を結んだときに届け出なければいけません。つまり、労働基準法に違反する時間外労働があったとしても、1ヶ月で平均したときに1週間の労働時間が基準値におさまっていれば問題ありません。

1年単位の変形労働時間制に関する協定届

こちらは、平均する期間を1年以内とした協定を結んだときに届け出なければいけないものです。1週間の労働時間が平均して40時間を超えなければ問題ありません。

1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定届

週間毎日の労働時間を事前に労働者に通知する、という前提で1日に10時間まで労働させることが可能になる協定を結んだときに届け出なければいけません。


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時間外労働・休日労働に関する協定届

労働基準法に定められた労働時間を延長して労働させることができる協定を結んだ際、届け出なければいけないもの。休日出勤をさせる際にもこの労使協定の届け出が必要になります。

事業場外労働に関する協定届

所謂「みなし残業」を認める協定を結んだ際に必要になる届け出のことです。事業場外での労働で、労働時間の算定が難しい場合に適用されます。ただし、事業場外労働が法定労働時間内におさまっている場合、届け出は必要ありません。

専門業務型裁量労働制に関する協定届

専門性の高い仕事である場合、業務の遂行手段や遂行時間を具体的に指示できないことがあります。そんな労働時間の算定が難しい場合、労働時間を労使協定で定めた時間であるとみなすため、届け出が必要になります。


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労働基準監督署に届け出が不要な労使協定の種類

労働基準監督署に届け出が不要なのは、以下の7つです。どのような協定か簡単にご説明します。

賃金控除協定

原則として賃金は全額支払う必要がありますが、この協定を結んでいれば財形貯蓄などを賃金から控除することが可能になります。

フレックスタイム制

労使協定を結べば、フレックスタイム制を導入することが可能です。


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休憩時間の一斉付与原則の解除

基本的に一般の業種において休憩時間は定められており、皆一斉に休憩を取りますが、この協定を結んでいれば一斉に休憩を取らなくても良くなります。


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割増賃金の割増率引き上げ分に相当する有給代替休暇を付与する場合の労使協定

1ヶ月の時間外労働時間が60時間を超えた場合、50%の割増賃金を支払う必要がありますが、この協定を結んでいれば割増賃金の代わりに有給を付与することができます。

年次有給休暇の分割付与を行う場合

1年に5日分を上限に、時間単位の有休取得が可能になる協定です。


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年休日の賃金を標準報酬月額で支払う労使協定

専門性の高い業務など、技術力の必要な業務に限り適用される協定です。

育児介護休業法に関する協定

育児休業や介護休業が取得できない人に対し、有給の付与などを行うことができます。


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代表的な36協定に違反すると罰則が科せられる

労使協定の中で最も代表的なのが、36協定です。多くの企業が締結している36協定はどのようなものなのか、以下を参考にし、確認しておきましょう。

36協定とは

36協定とは、労働基準法で定められた労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働を科す場合に必要な協定のことです。法定労働時間を超える時間外労働を労働者にさせたい場合は、36協定の届け出・対応が必須になります。

36協定を締結しても上限は定められており、時間外労働が月45時間・年間360時間が原則です。尚、特別条項付きの36協定を結べば、1年の内6ヶ月は上限を超える時間を有効時間とし、残業させることが可能です。ただし特別条項は、納期が差し迫っていたり不測の事態が起こったりなど、緊急性の高い一時的な業務があった場合にのみ認められます。日常的な業務を行っている際には認められていないので、注意しましょう。

36協定に違反すると?

36協定に記載されている労働限度時間を超えて労働を行った場合や、特別条項付きの36協定を結んだ場合において7ヶ月以上の上限を超えた時間外労働を行った場合は、協定違反となり会社側が処罰されます。

36協定違反の場合6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があり、使用者が違反を黙秘していた場合にも30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。この場合、企業だけではなく現場での労働管理監督者も対象となります。

36協定違反になると労働基準監督署からの是正勧告されますが、改善が認められなかった場合は書類送検されて企業名が公表されます。懲役や罰金などの処罰に加え、社会や労働者からの信頼を失う結果を招きかねません。しっかりと労働時間を管理、監督することが重要です。


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労使協定をスムーズに締結するには、福利厚生制度の見直しを

労使協定は、民事的な効力を発揮しないとはいえ、労働者にとっても会社にとってもとても重要な協定です。会社の利益を大幅に増進させる可能性を秘めています。しかし締結するに当たり、労働組合との協議がスムーズにいかないこともあるでしょう。

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